ジャスティン・ポッツ(Justin Potts)

SAKEという存在をもたらした「どぶろく」を知り、リスペクトする姿勢が足りない日本酒業界は意味のあるSAKEの未来を期待できないと確認しています。身近な原材料を何気なく最大限に活かし、それを発酵させるノウハウと喜びはJAPANという海上の小さな島に暮らしている人間としての特権です。

身近の存在であったからこそ、カルチャーとも言える存在だったどぶろくがあまりにも長い間日常から消えてしまったことは、日本酒業界が大きく縮小されてきた原因の1つとも言えます。

それは、誰か1人のせいではないし、ある出来事がもたらしたことでもありません。原因はいろんな要素の積み重ねと見事すぎるタイミングだけであって、しようがないことだったと言えるでしょう。

ただ、どぶろくやどぶろくから発生された酒造りならではの特徴の素晴らしさは、造り手、売り手、呑み手の現代人があまりにも長い年月ずっと無視され、日本酒ならではの「価値」や「意味」を国内外へと提唱される現状では、腐っている基礎の上に柱を立たせようとしていることと変わりません。

いわゆる「本物」とは言える物事を求める世界が現在ようやく到来し、日本のSAKE全体の存在意義を見せる武器として「どぶろく」が新しい風を吹かせてくれています。「正解」とは何なのか?がどんどん分からなくなる現在だからこそ、さらに根本レベルでしみじみと納得いくことはきっと存在します。
「どぶろく」の定義自体が曖昧ではあるのですが、いわゆる「正解」がないからこそ多様性があり、幅広く楽しく美味しく納得させられる存在であるはずです。

正解がないどぶろくについては、僕は何も教えることありません。でも微力ながら、一人ひとりに、どぶろくから日本酒まで、それぞれが改めて何気ない日常の喜びを見出していただけるきっかけを与えていければとても嬉しく思います。


profile

ジャスティン・ポッツ(Justin Potts)
㈱ポッツ家プロダクションズ(CEO/チーフ・エンタテインメント・オフィサー)

シアトル市生まれ。ワシントン私立大学卒業、テンプル大学ジャパンキャンパス大学院修士課程終了。メディア・ローカリゼーション、コンテンツパブリッシング、PR、ブランディング、広義で教育など多岐にわたった活動している中、株式会社umariに入社となり、地方と都会、地方と海外を繋げて食や観光を中心とした日本各地のプロジェクトデザインに携わっていた。2015年より木戸泉酒造の蔵人としてお酒造りを行う傍ら、農的な暮らしを実践する「ブラウンズフィールド」にて古民家を活かしたアグリツーリズムも。現在日本各地のSake Tourismやガストロノミー・ツーリズムのプロジェクトデザイン、商品開発、人材育成も行っている。世界初の日本酒&焼酎に特化したポッドキャスト「SAKE ON AIR」のプロデュースー兼MC。幅広く発酵飲料の商品開発と海外展開への裏で主役。日本酒学講師、酒匠、きき酒師の資格を所有。2017年に料理人の妻と遊び専門の娘2人で「株式会社ポッツ家プロダクションズ」を設立。お子さん連れの酒場、遊び場を提案するファミリーユニットとして活動中。

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